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2015年7月 5日 (日)

脳脊髄液減少症 ~鎮痛剤の効きにくい頭痛~

<脳脊髄液減少症について>
 低髄液圧症候群ともいわれます。原因がわかりにくく、鎮痛剤の効きにくい頑固な頭痛のひとつであり、専門的には注目すべき疾患です。体内で脳脊髄液が漏れて(髄液漏と言います)、頭の中の脳脊髄液の水圧がさがり、頭痛、頚部痛、吐き気などがおこる状態を言います。悪化すると、臥床を余儀なくされ、仕事や家事に大きな支障をきたします。体内での髄液漏れのために、通常のMRIやCT検査では検出されないために、異常所見なしとされる場合が少なくありません。

<症状について>
・頑固な頭痛:頭痛がとれない、特に長く立っていたりすると頭痛が悪化します(体位による頭痛悪化)。ひどい場合は、臥床状態を余儀なくされ、数時間しか仕事ができない場合もあります。いくら鎮痛剤を服用してもなかなか効果が得られません。
・吐き気、ふらつき感、めまい、さらには集中力低下などをきたすこともあります。

<髄液漏の原因>
 髄液漏れの原因ははっきりしないことが多いのですが、頭部や背中の打撲、しりもちをつくなどの、比較的軽い外傷でもおこる可能性があります。

<検査所見>
脳槽シンチグラフィー:髄液漏の有無および脳脊髄液の漏出部位を確認するには、放射性同位元素を用いた脳槽シンチグラフィーという検査が必要です。In-DTPAという物質を腰から髄液の中に注入し、時間をおって脊髄全体を撮影します。 もし髄液漏があると、放射性同位元素の漏れにより、脊髄の横に異常な影がみられます。

 類似の検査でCTミエログラフィーという検査があります。脳槽シンチグラフィーと同様の手技で、髄液の中に造影剤を注入する検査法です。脳槽シンチグラフィーと比べ、髄液漏検出の感度は低いのですが、漏れが検出されればより確実な診断となります。欠点として、アレルギーなど造影剤の副作用のリスクがあることです。

< 治療について>
発病から間もない場合は、1週間~10日間程度の点滴と安静臥床で自然に治る場合もありますので、まずは安静が重要です。しかし点滴と安静で改善しない場合は、自己血硬膜外注入療法(ブラッドパッチ)を行います。

<ブラッドパッチの方法>
 患者さん自身の血液を清潔な状態で15-20ml程度採血します。脳脊髄液は硬膜といわれる、かなりしっかりした膜で囲まれた袋のような組織の中に入っています。採血した血液を、この硬膜という膜の外に注入します。この血液注入により、癒着がおこり、脳脊髄液が漏れている穴を塞ぐことで髄液漏を止めるものと推測されています。

< ブラッドパッチの問題点>
 脊髄神経の周囲に血液を注入するために、腰の痛みや下肢のしびれ感など、神経の刺激による症状が出る場合があります。ただほとんどの例では、上記症状は数日で消失します。また、時に頭痛が悪化することもありますが、多くは一時的な悪化で軽快します。細菌感染のリスクはゼロではありませんが、幸い自験症例での感染例はありません。

< 最後に>
 脳脊髄液減少症は、まだまだ不明な点が多い病気です。またブラッドパッチ自体、脊髄周囲に異物(血液)を入れるわけですから、長期的な影響については十分には知られていないのが現状です。医療機関での説明をよく聞かれて、十分にこの疾患の理解を深めた上で、治療を受けられることをお勧めします。

参考リンク:

低髄液圧症候群  https://sites.google.com/site/teizuiatu/

 

 

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